* どんな病気なの? *

★ 副腎皮質って、どんな臓器なの? ★

腎臓の上方に、ちょうど帽子をかぶせたような位置に、副腎という臓器があります。
小さな臓器ですが、人間が生きていくうえで、また成長をしていく上で大変に大切な臓器で、ホルモン(ステロイドホルモンといいます)を作っています。
もう少し詳くいうと、副腎というのは三角形のお饅頭のような構造になっていて、皮に相当する部分を副腎皮質、あんに相当する部分を髄質といいますが、ここで説明しようとしているのは皮質のホルモンについてなのです。
ここでは、血液中のコレステロールを集め、これを素材として、コルチゾルと呼ばれるホルモン、アルドステロンと呼ばれるホルモン、そして副腎性男性ホルモンの三種類が製造されています。
コルチゾルは人間が生きていく上でなくてはならないホルモンで、ストレスが加わったときなどは増加し、ストレスに耐えられるように身体を守ってくれます。
アルドステロンは血液や細胞のナトリウムやカリウムの濃度や量を、生きていく上で適切な範囲に調節してくれるホルモンです。
副腎性男性ホルモンは、乳幼児期にはほとんど作られませんが思春期になると活動を開始し、二次性徴が順調に発達するうえで重要な役割をはたします。

★ 先天性副腎過形成症はどのような病気なの? ★

先天性副腎過形成症(Congenital(コンジェニタル:先天性)Adrenal(アドレナル:副腎)Hyperplasia(ハイパープレイジア:過形成)CAH と略します)というのは、副腎皮質で作られているホルモンが、先天的に順調に作られていないため新生児期から様々な症状を起こす病気なのです。コレステロールからコルチゾールやアルドステロンが作られる過程には21水酸化酵素や他の酵素が関与しているのですが、この酵素が先天的に欠乏している赤ちゃんがこの病気なのです。
コルチゾールが産生させないと、血液中のコルチゾル濃度は低下し、細胞の活力はなくなり、ほ乳力は低下し、嘔吐しやすくなり、体力は衰え、やがてショックをおこし、放置すると死亡してしまいます。アルドステロンが産生されないと、腎臓からナトリウムが大量に排泄され、血液や体液中のナトリウム濃度は低下し(低ナトリウム血症)、逆にカリウムは尿に排泄されにくくなり、体内に蓄積(高カリウム血症)してしまいます。そのため身体は塩分不足状態となり、同時に水分不足状態、すなわち脱水症状も起こしてきます。赤ちゃんにとっては生死を決める大変な状態になってきます。
コルチゾルが不足し、血液中濃度が低下すると、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTHといいます)が大量に分泌されるようになり、副腎皮質を刺激して、コルチゾルをもっと作るように命令します(ネガティブフィードバック)。ところが、酵素が欠乏しているのですから、副腎かいくらがんばってもコルチゾルは増えていきません。副腎はちょうど工場を拡大するかのように、大きく膨れていきます。(これを過形成といいます)。
コルチゾルが作られないだけでなく、乳幼児ではあまり必要としない副腎性男性ホルモンばかり大量に作られてしまいます。この状態は胎生期からはじまっているため、女児の場合、女の子特有の症状をもって産まれてきます。
ACTHが増加すると、皮膚の色素が増加し、色黒になってきます。重症例では生まれたときすでに色黒になっています。
低ナトリウム血症を起こし、脱水やショックを起こしてくる例を塩喪失型といい、男性化現象だけで低ナトリウム血症を伴わない例を単純男性型と呼んでいます。どちらの型も同一疾患ですが、症状の差で二型に分けているのです。
(ここでは、21水酸化欠損症について書いています、2種類の分類も21水酸化酵素欠損症をさらに分けた物です。)
病名による分類は、21水酸化酵素欠損症の他、17α水酸化酵素欠損症、11β水酸化酵素欠損症、3β水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症、先天性副腎リポイド過形成、の5種類で、欠損酵素部位によって細かく分類できます。


★ 新生児マススクリーニング ★ 

あなたの赤ちゃんが、生後まもなく、かかとから少量の血液を採り、検査を受けたことを覚えていますか?
先天性の病気を早期に発見し、適切な治療を早期から開始することで、障害発生や死亡を未然に防止することを目的として、新生児マススクリーニング検査が日本全国で行われています。現在、早期発見の対象となっている病気は、クレチン症、フェニルケトン尿症など六種類の病気ですが、昭和64年1月から、先天性副腎過形成症も対象疾患としてマススクリーニング検査に組み入れられることとなりました。
先天性副腎皮質過形成の赤ちゃんが脱水やショックを起こすのは生後二週間以後のことが多いのです(塩喪失型)。それまでは、この病気と気付かれないため、今までの塩喪失型の先天性副腎皮質過形成の診断は、平均年齢が55日ぐらいでした。中には診断される前に死亡していた例も少なくないようです。
単純型はショックなどの症例は起こしにくいのですが、男性化現象が相当に進行してから病院にかかるため、平均診断年齢は6歳代とかなり遅れていました。
これらの例は、もっと早く発見すれば死亡や重篤状態あるいは男性化現象の進行が妨げるはずです。それには新生児期に検査を頼りにしてはやく見つけるのがもっとも良い方法だと考えられるようになったのです。すなわち新生児マススクリーニングが必要になってきたわけです。

参考文献:先天性副腎過形成症をめぐって
神奈川県立こども医療センター小児科部長
諏訪城三




    病気の説明って、ひとつ読んだからといって、満足できるものではないですよね。
   もっと違うのはないか?もっと分かりやすいのはないか・・・?
   と永遠に捜し求めてしまいます。
   同じようなものでも、むさぼるように読んでしまいます。
   ちょっと表現がちがっただけで、よくわからなかったところが
   パッと理解できたりってこともしばしば・・・
   そんな皆さんのために、このHPでも、できるかぎり情報を集めたいと思います。


    やぶたこどもクリニック たした先生の子どもにもわかりやすい説明
    オーストラリアのブックレットより 
    難病情報センターより 
         ここでは副腎酵素欠損症という病名で記載されています。
    図解入り解説
    うんたんのママの玉手箱より 
    先天性代謝異常等検査について 


   
inserted by FC2 system